俳句 西川 徹郎

不眠症に落葉が魚になっている 海女が沖より引きずり上げる無灯艦隊 精神科よりさめざめと首泳ぎゆけり さくら散って火夫らは耳を剃り落とす いっしんに産婆とのぼる鬼神峠耳裏の枯田にぐんぐん縮む馬 炎昼の船倉しんしん針が降る 冬の街どこかで鈴が鳴りて…